歯科疾患実態調査によると、40代前半で、処置前後の虫歯や失われた歯の総数は半分以上の15本、50代で17本。60代になると20本に達し、うち10本は抜けてしまっている。
80歳で20本の歯を残そうという「8020」が提唱されているが、80代では、なんと半数が総入れ歯というのがわが国の現状だ。
日本人の多くは、きちんと歯科に通い、歯を磨く。
それでも、歯は年と共に消えていく。
自分の歯をできるだけ長く使っていきたい。そんな願いとは、どうもかみ合わない。歯科との付き合いってこれでいいの?
治療した歯の耐用年数は10年に満たない。かぶせた物と歯のすき間に新たな虫歯ができたり、ふたをしてかぶせた場合は歯の根に細菌感染が起きたりする。
このデータをまとめた北海道大歯学部教授の森田学さんは「これより長く持つ場合もありますが、1度削れば、再治療のサイクルに入り、歯を失う原因になります」と言う。治療すれば壊れるというのは、あながち誤りではない。
ではどうすれば、これ以上、歯を失わずにすむのだろう。
「毎日の歯磨きの習慣を基本に、定期的に歯科に通って、歯の状態をチェックし、プロの掃除を受けることです。歯科は、痛くなってからではなく、定期点検に通って下さい」と森田さん。専門は予防歯科だ。
虫歯や歯茎が痛む歯周病は、細菌感染が原因だ。細菌のかたまり、ネバネバの歯垢(プラーク)は、2週間もすると歯石となり、歯の表面や歯茎の中にこびりつく。酸で歯に穴を開け、歯茎に炎症を引き起こす。
歯磨きで、ある程度は細菌を減らすことはできる。
しかし、特殊な器具を使わないと落とせないプラークや歯石がある。3〜6か月に1度の歯科の定期清掃できれいにする。これで失う歯を減らせる。
過去20年余りで、先進国の歯科は治療から予防へと軸足が変わり、虫歯や歯周病は減っている。一方、日本では歯科での定期清掃が定着していない。