食後に、歯の間に入った食べ物を楊枝で取り除いている方はいらっしゃいませんか?
どうして物が挟まってしまうのか?
そして、そのままにしておくことどんなことが起こるのでしょうか?
歯の間に挟まるのは・・・
歯と歯の間に虫歯がある
歯と歯の間に虫歯があると、虫歯の穴に食物引っ掛かり挟まりやすくなります。
歯と歯の間に隙間がある
歯と歯の間に隙間(0.1~3ミリ程度)がある場合に、物が挟まりやすくなります。
咬み合わせが原因で、歯が少しずつ移動して、隙間ができてくる場合もあります。
歯と歯に段差があるとき
歯の噛む面が周りの歯より、一段高くなっていたり、低くなっていたり歯並びに段差があると、物が挟まりやすくなる ことがあります。
物が挟まるには適度な間隔が必要で、あまり大きな間隔になると逆に挟まらなくなってきます。
食べ物でよく挟まりやすいのは、肉や野菜の繊維質が中心です。
歯科医院で適切な治療を
歯に物が挟まりやすい方は、歯科医院でチェックを受け、早めに治療しましょう!!
歯と歯の間に虫歯がある場合
虫歯が小さいときは、詰め物を詰めます。
大きな虫歯では、金属のはめ込みや被せ物を作って、歯と歯の間の隙間をなくします。
歯と歯の間に隙間がある場合
被せ物がある場合には、それを外して隙間がなくなるように新しい被せ物を作り直す事もあります。
隙間をなくすように、ものを詰めたりして、歯の間に物が挟まらないようにします。
歯と歯に段差があるとき場合
段差を削ってから滑らかになるように調整します。
あまりに大きな段差の場合には、歯の神経を抜いてから、同じ高さになるように被せ物や、親知らずなどでは歯を抜くこともあります。
ミネラルの出入り
むし歯の主役がミュータンス菌であるとすれば、脇役は食べ物です。
何十年も前には、むし歯の原因はビタミンの欠乏ではないかと疑われたこともありました。今でも、砂糖をたくさん食べるとむし歯になりやすいと考えている専門家もいます。
人間のエネルギー源として、糖(ショ糖など)は欠かすことが出来ませんが、糖が口の中に入ると、口の中の細菌は酸をつくり増殖します。
細菌が要塞のようなバイオフィルムをつくっていない限り、歯を守る主役である唾液がこの酸を中和してくれます。
では、バイオフィルムをつくっている場合はどうなるでしょうか。
ミュータンス菌はその閉ざされたバイオフィルムのカプセルの中で強い酸をつくります。このため飲食物が口に入った直後、バイオフィルムは強い酸性になります。唾液は食べ物のカスを洗い流して酸を中和しますが、バイオフィルムの中は溶け出したリンやカルシウムなどミネラルは歯の中に戻ってきます。
エナメル質の表面にバイオフィルムがあるとき、エナメル質からミネラルが奪われ、再び表面からエナメル質の内部に戻るという出入りを繰り返しています。
まるで、地表の水分が強い日差しによって蒸発し、また雨となって地中にしみ込むその様子を「脱灰(だっかい)と再石灰化」といいます。
大切な食事管理
糖尿病の治療では、食事の管理がとても大切ですが、むし歯の治療でも実は同じです。
患者さん自身が自分の飲食習慣を自覚し、飲食物の性質(糖の多いものか、口の中に長時間あるものか?)、飲食の頻度、就寝前の糖の摂取に注意しましょう。
長時間口の中に糖があったり、だらだらいつも間食をとっていたり、寝る前に甘いものを食べると、むし歯のリスクが高くなります。
「歳をとると歯が抜けるのは仕方がない」と思いがちですが、実は歯が抜ける原因のほとんどは、「歯周病」という病気によるものです。
日本人の約50%が歯周病で歯を失っています。
虫歯とならんで歯を失う大きな原因の歯周病とは、どのような病気なのでしょうか?
歯周病とは?
歯周病とは、プラーク(歯垢)や歯石などの原因から歯周組織が破壊されてしまう病気の総称です。
歯周病の早い段階で、歯肉だけ炎症を起こしている状態を「歯肉炎」、さらに悪化して歯槽骨(歯の土台)まで破壊された状態を「歯周炎(歯槽膿漏)」といいます。
○健康な状態
↓
○歯肉炎
炎症が起こっている状態。
歯肉溝にプラークがたまり、歯肉が腫れ、歯磨きやちょっとした刺激でも出血しやすくなる。
↓
○初期歯周炎(軽度)
歯肉の炎症が進み、歯と歯肉の間に「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝ができる。歯槽骨の破壊も始まり、水などがしみるようになる。
↓
○中期歯周炎(中程度)
↓
○末期歯周炎(重度)
歯槽骨がほとんどなく、歯根が露出。
歯肉が腫れて痛み、歯がグラグラになって、最後には抜けてしまう。
チェック項目
次の項目に、一つでもあてはまる時は注意が必要です。
□歯磨きのとき、歯肉から出血がある。
□歯肉の色が変わったり、腫れたり膿んだりしている。
□口臭が気になる。
□グラグラする歯がある。
□歯肉が下がって、歯が離れている感じがする。
□歯並びや、噛み合わせに変化がある。
□糖尿病にかかっている。(白血球の働きが弱くなるため、歯周病が進む可能性が高い。)
歯周病は「静かなる病気」と呼ばれるほど自覚症状がほとんど感じられない病気で、気づいた時には、歯槽骨がボロボロになり、重傷になっているケースも少なくありません。
そうなってしまえば、まともに食事すらできなくなってしまいます。
歯周病を予防するには、早期発見・早期治療が大切です。
少なくとも、半年に一度受診されることをお勧め致します。
お口の中の正しい清掃には、もちろん歯ブラシが重要ですが、それだけでは、お口の中の汚れの6割ほどしか取れないと言われています。
歯と歯の間に歯垢、食べかすなどが残ると、虫歯や歯周病の原因となります。
そこで、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助器具を使い、歯ブラシでは届かない部分についた歯垢や食べかすを取り除きましょう。
一日一回は歯磨きの後、歯間ブラシ等を使い、きれいで健康な歯を保ちましょう。
歯間ブラシ
歯と歯の間にある根元の隙間を清掃する道具です。
歯間ブラシには様々なサイズがあります。お口の中の状況は、一人ひとり違いますので、ご自分の歯ぐきの状態や使いたい部位に合ったサイズを選ぶことが重要です。
デンタルフロス
虫歯になりやすい歯と歯の接点をはじめ、歯の側面の清掃器具です。
素材はナイロンで、一本の糸に見えますが、実は細かい繊維の束になっています。デンタルフロスには、糸巻きタイプと糸付きようじなどのホルダーつきタイプがあります。
虫歯の原因
虫歯は、歯垢(プラーク)の中の細菌が作り出す酸によって歯が溶けていく病気です。
虫歯ができるのは、3つの条件が同時に重なることが必要です。
歯
歯には、深い溝や凹凸があります。また、歯並びや歯の質も関係します。
虫歯の原因となる細菌
ミュータンス菌を中心にして、虫歯の原因菌が歯垢(プラーク)を作ります。
糖質
歯垢(プラーク)の中の虫歯原因菌は、食べ物や飲み物に含まれている糖質を分解して、歯を溶かす酸を作ります。
虫歯を予防するには?
■自宅でできる予防法
・毎食後に歯磨きをする
歯垢(プラーク)を取り除くには、歯磨きが最も効果がある方法です。歯磨きの際に、フッ素が入っている歯磨き粉や、洗口液をしようするとより効果的です。
特に、就寝前の歯磨きは徹底的に行い、少しでも虫歯菌の量を減らすことを心がけましょう。
・よく噛んで食事をする
唾液には、酸性の口の中を中和する力があります。
さらに唾液には、カルシウムとリン酸が含まれていて、これらは歯の再石灰化を促進する効果があります。食事のときに、噛む回数を増やし、唾液が良く出るようにするとよいでしょう。
・キシリトールガムを噛む
キシリトールには、ミュータンス菌の活動を抑えて、酸をつくりださないようにする効果があります。
さらに、ガムを噛むことで唾液が出て、口の中を中性に戻すことができます。
・食後に一杯の緑茶
緑茶も虫歯予防に効果があります。
緑茶にもフッ素が含まれています。そして、緑茶に含まれているカテキンは殺菌作用があり、虫歯の菌を抑える効果があります。
食後には歯磨きができない場合は、一杯だけでも緑茶を飲むと虫歯予防になります。
■歯科医院で行なう予防法
・定期健診
・ご自身にあった歯磨き指導を受ける
・歯石、歯垢除去
・フッ素塗布
虫歯の初期は症状がなく、気づかないことが多いものです。
水がしみる、歯茎から血が出る等の自覚症状が出た時には、かなり進行しています。
定期健診を受けると、早めに発見できます。虫歯のない、健康な歯を保つためには、歯磨き指導や定期的な歯石歯垢除去、プロフェッショナルケアを受けるのが一番の近道です。
口腔衛生習慣の改善により、日本人の虫歯は減少してきました。
しかし、歯周病はあまり減少することなく、現在でも、成人の半数以上が初期段階の歯周病にかかっているといわれており、歯の喪失原因の第1位になっております。
歯周病の兆候は?
次のような症状はありませんか?
・朝起きた時、口の中がネバネバする
・口臭が気になる
・歯磨きの時に出血する
・歯肉がむずかゆい、痛い
・歯肉が赤く腫れている
・歯が長くなったような気がする
・硬い物が噛みにくい
・歯と歯の間に隙間が出てきた
症状が一つでも当てはまる方は、歯周病である可能性があります。出来るだけ早く、歯科医院で検査を受けましょう。
歯周病は治療可能
現在では歯周病は、予防ができ、治療も可能です。
大切なのは予防、診断、治療、そしてメンテナンスです。
以前は「不治の病」とさえ言われてきた歯周病も、現在では進行を阻止することが可能となり、健康を取り戻すことができるのです。まず、歯周病の原因は歯垢ですから、増やさないことが基本です。
そのためには・・・
1.正しい方法の歯磨きを毎日実行することです。歯の表面を歯垢のない清潔な状態にしておくことが何より大切なことです。
2.歯肉の中まで入っている歯石を完全に取り除き、炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去することです。
3.傷んだ歯肉、骨を治療して健康に近いし肉にすることです。
4.健康の保持のため、歯科医院で専門的なクリーニングなどのメンテナンスを定期的に受けることです。
「虫歯でもなさそうなのに、冷たいものがしみてたまらない歯がある」という経験のある方が案外多いようです。
自分では大丈夫と思っていても、虫歯になっている場合がありますので、診療を受けることをお勧め致します。しかし、本当に「虫歯ではないのに歯がしみる」という場合もあります。
これが、「知覚過敏」と呼ばれる状態です。
知覚過敏とは、どんな症状?
知覚過敏は、正式には「象牙質知覚過敏症」と言います。
症状としては、次のような状態が挙げられます。
・冷たいものを飲んだときに歯がしみる
・歯ブラシでこすると痛い
・うがいをするとしみる
・甘いものを食べたとき痛みを感じる
・寒い時期などに外気を吸うと傷む など
知覚過敏の定義としては、「なんらかの原因によって露出してしまった象牙質に、外的な刺激が伝わることで、一過性の痛みを感じること」です。
痛みの症状を、「一過性の痛み」という表現をしますが、痛いのは、歯が冷たいものなどの刺激を受けたその一瞬だけで、刺激が消えれば痛みがおさまるのが特徴です。
親知らずとは?
親知らずとは、個人差はありますが17歳~21歳ごろに一番奥に生えてくる歯です。
そもそも、親知らずとは、その歯が生える頃にはもう親はこの世になく、親の顔を知らない歯という意味でつけられた俗称です。
最近では初めから親知らずのない若い人が非常に増加しています。
これは人間の顎が世代を追って小さくなってきているので、進化の過程で歯が減少してくる際の現象とみられています。
親知らずが引き起こす問題
親知らずが生えてきたとしても、その生え方は様々です。
一般的に日本人の場合、顎が小さいため、真っすぐ生えているのは希で、多くは多少傾いていたり、ひどい場合は真横になっていたりします。ある程度傾いてしまった親知らずは、もう完全に生えることが出来ないので、歯茎から頭の一部だけを出してきます。
すると、周りの歯肉との間などに隙間ができ、そこはむし歯や歯槽膿漏の原因となる菌の繁殖場所となります。つまり、むし歯になる確率が高くなるのです。
親知らずの有効活用
一方、親知らずがあって助かる場合もあります。
親知らずの1本あるいは2本前の歯を失ったとき、さし歯の土台として、また多くの歯を失ったときにはいて場の支えとして有効です。さらに、抜歯が必要になった歯の場所に親知らずを移植(歯の再生)に使うことも出来ます。
ですから、親知らずを大切に保存するべきという説もあります。
親知らずの状態をしりましょう
いずれにせよ親知らずは、生え方一つとっても歯並びに影響を与えかねません。
特に中学生から高校生くらいの時、一度歯科医院を受診し、レントゲンで親知らずが生えてくる前の状態を確認してもらい、自分の親知らずの状態について知っておくと良いと思います。
親知らずによる繰り返す痛みを放置しておくと大切な奥歯を失うことになるばかりか、歯だけに留まらず他の機関にも影響を及ぼしかねません。
最近、歯科診療所の看板に「予防」の文字が目につく。
歯科衛生士の案内で、いすに座ると、口内を入念にチェック。「歯茎がやや炎症を起こしていますね。ちょっと腫れているところもあります。」歯の写真とエックス線写真を撮影。終わると目の前の画面に12枚の歯の写真が現れた。
「この赤くなっているのが炎症。お掃除でよくなりますよ」
次に、歯科医が15分ほどかけて、歯の状態や予防の考え方を説明してくれた。「毎日の適切な歯磨き、間食を避ける食習慣を身につけて、むし歯に強い口内の環境を整えましょう」
歯磨きでは取れない歯石を超音波器具などで掃除し、酸に対し強い歯を作るフッ素の塗布を合わせ、かかった時間は計50分。健康保険を使って、2000円余りだった。
歯科医と言えば、座ると、削られ、詰められて説明はわずか、という経験しかなかった。自分の歯をつぶさに眺めたのも、歯全体の状態についてきちんと説明を受けたのも初めて。歯科のイメージが一新した。
一通りの検査と歯茎の掃除が終わるまでこの後、5回通った。そこで予防歯科の基礎を学んだ。
虫歯の仕組み
口の中の細菌が、食べ物のカスを取り入れて出す酸で、歯からカルシウムが溶け出す。「脱灰」と言う。正常な口の中では、唾液の働きで、再びカルシウムが沈着して歯を修復する。「最石灰化」と言う働きだ。歯は、脱灰と再石灰化を繰り返す。脱灰が強く、再石灰化の働きが弱いと虫歯になる。脱灰を抑え、再石灰化を促すのが予防や治療の基本だ。
歯磨き
脱灰の原因になる菌を減らす。歯並びなどにより、要注意箇所は人それぞれ。歯垢を赤く染め出す液で、磨き残しなどが分かる。
食事
飲食後、2、3分で口内の酸性度が強まり、脱灰が始まるが、唾液の力で20~40分でアルカリ性に戻る。間食が多いと、脱灰時間が長く、再石灰化の時間が短くなる。
唾液検査
虫歯を作るミュータンス菌と進行させるラクトバチラス菌の量、唾液の分泌量、酸を中和する能力などを調べる。自分の虫歯危険度がわかる。
菌は少なく、唾液は多く、中和する力が強いほど虫歯になりにくい。(健康保険は使えず、費用は2000円程度から)
自分の歯の状態を知り、虫歯になりにくい口の中を作る知識を身につけるのが予防の第一歩だ。
歯科疾患実態調査によると、40代前半で、処置前後の虫歯や失われた歯の総数は半分以上の15本、50代で17本。60代になると20本に達し、うち10本は抜けてしまっている。
80歳で20本の歯を残そうという「8020」が提唱されているが、80代では、なんと半数が総入れ歯というのがわが国の現状だ。
日本人の多くは、きちんと歯科に通い、歯を磨く。
それでも、歯は年と共に消えていく。
自分の歯をできるだけ長く使っていきたい。そんな願いとは、どうもかみ合わない。歯科との付き合いってこれでいいの?
治療した歯の耐用年数は10年に満たない。かぶせた物と歯のすき間に新たな虫歯ができたり、ふたをしてかぶせた場合は歯の根に細菌感染が起きたりする。
このデータをまとめた北海道大歯学部教授の森田学さんは「これより長く持つ場合もありますが、1度削れば、再治療のサイクルに入り、歯を失う原因になります」と言う。治療すれば壊れるというのは、あながち誤りではない。
ではどうすれば、これ以上、歯を失わずにすむのだろう。
「毎日の歯磨きの習慣を基本に、定期的に歯科に通って、歯の状態をチェックし、プロの掃除を受けることです。歯科は、痛くなってからではなく、定期点検に通って下さい」と森田さん。専門は予防歯科だ。
虫歯や歯茎が痛む歯周病は、細菌感染が原因だ。細菌のかたまり、ネバネバの歯垢(プラーク)は、2週間もすると歯石となり、歯の表面や歯茎の中にこびりつく。酸で歯に穴を開け、歯茎に炎症を引き起こす。
歯磨きで、ある程度は細菌を減らすことはできる。
しかし、特殊な器具を使わないと落とせないプラークや歯石がある。3~6か月に1度の歯科の定期清掃できれいにする。これで失う歯を減らせる。
過去20年余りで、先進国の歯科は治療から予防へと軸足が変わり、虫歯や歯周病は減っている。一方、日本では歯科での定期清掃が定着していない。